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情報セキュリティマネジメント試験を受験して       

                                     弁護士 阪 井 千 鶴 子    


今、大阪市の監査委員を務めていますが、大阪市では、監査部に専門スタッフを迎えて、システム監査にも取り組んでいます。自治体は、ありとあらゆる情報の宝庫であり、センシティブ情報を始め、保有している個人情報は企業の比では有りません。そして、巨大な情報システムを介して、住民サービスが提供されていると言っても過言では有りません。そのため、ひとたびシステム障害を起こせば、市民の皆さんに与える損害ははかり知れませんし、個人情報の漏洩が起これば、その被害たるや想像を絶するのではないかと危惧されます。
 そこで、システム監査にも力が入るわけですが、この監査も、監査委員というフィルターを通して、公表されるわけですから、フィルターも性能を高める必要が当然にあります。

 大阪市の監査部では、専門スタッフを中心とした勉強会を開いており、そこにときおり、お邪魔して勉強させて頂いていましたが、ある日、情報セキュリティマネジメント試験という国家試験が創設され、平成28年4月に第1回の試験がある、それを受験しようという話になりました。
 司法試験を受験したのは、30ン年前。今更、勉強なんて、記憶力がついていけるかしらんと思いましたが、若い皆さんに混じって勉強するのが楽しく、つい受験申し込みをしてしまった次第です。
 先日、合格発表にて、無事自分の番号を見つけて、今は安堵していますが、これから一から勉強を始める人の参考に少しでもなればと思い、恥を忍んで、勉強の軌跡を書き残します。

1,受験決意

 平成28年1月半ば、受けようか受けまいか、まだ迷っていました。
 年齢を考えると、一から覚えるのは、大変です。

 とりあえず、推薦してもらった教科書を購入したのが、1月21日です。
 その後、とりあえず、用語を覚えるための一覧表を作り始めたのが1月23日。受験の申し込みをしたのが、2月6日。つまり、2月6日時点で、まだ、うだうだと迷っていたことになります。

2,使用した教科書

 結局、私が使用した教科書は、推薦を受けた@「徹底攻略 情報セキュリティマネジメント教科書」(インプレス社)とA「情報セキュリティマネジメント要点整理&予想問題集」(翔泳社)とB「情報セキュリティマネジメント予想問題」(リックテレコム社)です。
 なぜ、3冊も使用したかと言うと、分野ごとに厚い薄いがあったからです。初めての試験で、過去問が集積していないためでしょう。編集者によってずいぶん違うのです。
 しかし、私はシロウトで、そこのあたりが全くわからない。
 そのため、まずは推薦してもらった図書を買い、次に、すでに2ヶ月を切っており、ノートにまとめる時間はなさそうだから、知識をまとめるのに役立ちそうな表がいっぱいある薄目の本ということでAを購入し、最後は過去問が心配で、Bを買いました。結果的に、どれかひとつという教科書はなく、最後まで、この3冊をぐるぐる回していました。

3,午前対策

 上記3冊の教科書を読み始めて1ヶ月くらい経った頃、どこかのサイトで、情報技術者試験は、過去問から7割出ると書いてあるのを見つけました。だとすれば、過去問を一生懸命して、9割正当できるようになれば、合格ラインに達するのだなと思い、上記3冊に掲載されている過去問とは別に、これまた紹介してもらった「情報セキュリティマネジメント試験 ドットコム」というサイトで、「過去問道場」を使って650問を解き続けました。
 司法試験の択一式と同じ要領で、選択肢の一つ一つをなぜ正解か、なぜ間違いか説明できて初めて正解とするやり方で解きました。2回目は、間違えた問題だけを出題してくれるので、同じ方法で解いて、また、最初に戻って1から解く。この方法で650問×3回くらい解きました。

4,午後対策

   午後の問題は、長文だったので、慣れるしかないと思い、週末に上記3冊の後ろについてる付録と、上記サイトの午後問題を解きました。午後問題は、私にとってはとにかくやっかいで、まず問題文を印刷してビジュアル的に克服するところから入りました。
 結論から言えば、上記Aの後ろに掲載されている予想問題(といっても、他の情報技術者試験の過去問)が本番に一番近かったです。
 上記サイトの長文問題は解説が無いものもあり、なかなか勉強は進みませんでした。
自分が不得意な分野は、いやと言うほどわかりました。その分野に当たると、下手すると30%台しか正答できないことも。それ系の問題は一目見たらわかるので、それが出たら、その問題は傷口を最小限度にして、他で点を取ることを考えようと心に決めました。

5,試験当日

 午前中の試験は、7割が過去問から出るというのは本当だったんだと実感できた試験でした。半分くらいの時間が過ぎたところで、見直しもしたし、まあいいかと退室しました。
 強風の中、お弁当を食べて、見直して、試験会場へ。

 ここからがちょっと悲惨で、緊張のあまりか、石の椅子に長時間座っておなかが冷えたのか、お手洗いから出られない羽目になりました。○ストッパなる薬を用意していましたが、効かず。
 ぎりぎりに受験会場へ滑り込み、迎えた午後試験は、1問目はなんとか目標の15分で解けました。心配していた「一目見たらわかる苦手問題」は有りませんでした。
 が、2問目は、1問目よりも文章が頭に入りにくく、難問でした。そして、ペースが落ちたところで、なんと、回答欄を間違えており、途中で問題を飛ばしていることに気づきました。一瞬頭が真っ白に。それでなくても、ややこしい問題で、積み重ねながら解いていく問題だったので、いったんとぎれた思考は、なかなかつながりません。結局、2問目は45分近くかけて解く羽目になり、最後は、見直しをするのが精一杯でした。
 3問目は、2問目よりも解きやすかったです。難しさの順番は、2問目>3問目>1問目でした。午後問題でも、時間前に退出する人がいて、ほえーっと驚きました。

6,終わりに

 午前の点数を回してくれるなら、合格できるけど、午後がなあ・・・というのが感想で、駅までの帰り道で、「午後問題が易しかった。」と電話する人の声を聞きながら、あきらめようと思いました。じゃあ、次も受けるかといえば、午後の問題は、過去問を解いたからといって解ける問題ではなく、完全に集中力と国語力じゃないかと思ったので、もう一度チャレンジしようという気持ちにはなれませんでした。
 自己採点はしませでした。というよりも、できませんでした。最後に、自分の解答を問題文に書き写せば良かったのでしょうが、そこまで頭が回りませんでした。最後に二つ迷ったものなどは、最後どちらを選んだのか、思い出せそうにありませんでしたし、午後問題に至っては、2度と見たくないと思っていました。それに、受験番号や生年月日もマークしなくてはいけませんでしたが、そこの確認すら忘れていました。午後問題で、マークミスを経験していたので、仮に6割をとれていても、点数調整が有れば、ぱあ、マークミスをしていたら、やっぱり、ぱあ、受験番号や生年月日を間違えていたら、そもそも採点してもらえない、以上を勘案して、ぬか喜びして、発表当日どん底に落ちることを回避するべく、自己採点はやめました。
 成績は、午前が96点で、午後が87.5点でした。「頭真っ白」が如実に表れた点でした。
こうして私の受験は終わりました。
 家族からは、「その勉強が、日常生活にどう役に経つのか?」と言われ続けましたが、少なくとも、受験する前よりも知識は確実に増えました。
 IPAのサイトを見ることは受験に役立つという情報もあって、当該サイトを時折見ていましたが、それなりに書かれていることが理解できるようになりました。また、確かに、サイトに乗っていた記事から出題されたと思われる問題も複数題ありました。
 四捨五入すると60歳という年齢での受験は、記憶力との戦いでした。でもいくつになっても新しいことに挑戦するって、楽しいものなのだなと思いました。

 

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