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駐車場に放置された車両の撤去について



 賃貸駐車場の経営者から、「契約締結時に1か月分の賃料を受領したものの、その後、全く賃料を支払わないまま、賃借人が行方不明になった。駐車所には車両が放置されている。すでに1年が経過したが、この車両を撤去するには、どうすればよいのかという相談を受けました。
 写真を見せてもらったところ、車両にはナンバープレートの付いていますが、モデルチェンジ後10年以上経過していて、下取り価格がつくような代物ではありません。おそらく廃棄処分に金がかかるから放置していったのでしょう。

 このような場合、法的な手続きをきちんと踏んで、車両の名義を賃貸人にすれば、売却処分することも、廃車にすることも可能ですが、価値のない車両のために多額の金員を出費することがばかばかしところです。
 しかし、放置自動車を勝手に処分してしまうと、後日所有者が現れ、損害賠償請求されてしまうリスクがあります。放置されているような車両の場合、損害賠償金といっても裁判上、請求しうる金額は、決して経済的合理性のあるものではないのでしょうが、適切な法的手続きに従って処分しなければ損害賠償請求と称して恐喝まがいの請求を受ける可能性があること否定できません。

 本件の場合、まず駐車場の賃借人がその車両の所有名義人かどうかを確認する必要があります。車両の撤去を請求する相手は、その車両の所有者でなければならないところ、中古車市場では、盗難車両や所有権留保車両など車検証の登録名義が変更できないことを理由に安い値段で取引されている車両があり、車検証の所有者と駐車場の賃借人が別人である可能性があるからです。

 そこで、「登録事項等証明書」を最寄りの運輸支局(かつて陸運局と呼ばれていました)で取り寄せたところ、車検証の所有者と賃借人が異なっていました。このような場合、盗難車の可能性もありますので、警察に連絡を取り、事件性の無い車であることを確認する必要があります。もし警察で事件性があると判断されたときは、その車を警察が引き揚げてくれますので、それで一件落着です。
 警察で事件性がないと判断された場合は、所有者に連絡を取る必要があります。
 なお、車の名義がローン会社の場合は、賃借人ではなく、ローン会社の許可を取ることで車を撤去することが可能になります。

 所有者が判明し、それが賃借人と同一であれば、滞納賃料を催告するとともに賃貸借契約の解除通知をし、加えて明渡請求を内容証明郵便で送付するとともに、別途、普通郵便で車両の所有権移転あるいは廃車の委任状を同封して車両の所有権譲渡あるいは放棄を促します。ナンバープレートが付いている廃車の、廃車手続は自動車の登録名義人しかできないからです。

 賃借人と所有者が別人であるときは、所有者に対して、事情を説明したうえで、車両の所有権移転あるいは廃車の委任状を同封して車両の所有権譲渡あるいは放棄を促します。このとき、もし協力が得られないときは、やむなく明渡請求と賃料相当額を損害金とする損害賠償請求訴訟を提起せざるを得ないこと付言しておけば協力を得やすくなります。
 なお、賃借人に対しても、念のため所有権放棄書に署名押印を求めておいた方が無難でしょう。

 車両の所有者が判明しても、所有者と連絡が取れない場合、あるいは、連絡が取れたものの放置車両の所有権移転あるいは廃車の手続きに協力してもらえない場合、土地の明渡請求と、その放置されている土地につき賃料相当額を損害金として損害賠償請求訴訟を提起することになります。
 なお、土地所有者は、連絡を受けて初めて自己の名義の車両が他人の土地に放置されている事実を知らことになりますので、損害賠償請求は知ったときからの賃料相当損害金となります。したがって、訴訟を提起されて初めて知ったと抗弁されないように、事前の通知を内容証明郵便でしておく必要があります。
 このような場合、被告である所有者は、答弁書を提出することなく期日に欠席する可能性が高く、その場合は請求内容を認めたものとして、勝訴判決を得ることができます。

 しかしながら、この訴訟で車両の撤去を命じる判決を得ても、その判決でもって車両の所有名義を変更することはできません。車両の登録名義を変更するためには、損害金〇〇万円を支払えとの判決を債務名義として、自動車の差押え(競売手続)を裁判所に申し立てる必要があります。
 もっとも、競落しても廃車するしかないような車両ですから、駐車場の貸主自身が競落するか、第三者に頼んで競落してもらうしかありません。そして、競落人が車両の登録名義を変更したのち廃車処分をすることになります。廃車処分に要する費用は賃貸人が負担することになります。すなわち、第三者に競落を依頼する場合は、その費用をも含めた金額を請求されることになります。

<着手金・報酬金>
  1. 契約解除と明け渡し交渉の着手金を金10万円(消費税含まず)とする。
    着手金の支払時期は、特約なき場合は本件事件等の委任のときに一括払いするものとする。
  2. 訴訟に移行し、引き続き乙がこれを受任する場合は、強制執行の申立も含め、追加着手金を金10万円(消費税含まず)とする。
  3. 車両の撤去ができたときは、報酬金として金10万円(消費税含まず)を支払う。
 


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